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クリーンエアー・プログラム(CAP)|設備の運転管理 戻る 運転管理ガイドライン資料へ
ここではすでに設置されている定置式設備の、運転、点検、メンテナンスについて述べますが、設備はコンプレッサー吸入口の位置、換気と室温管理、ドレンや冷却水の適切な処理がなされていることが前提です。
空気吸入口の位置が悪ければ、排気ガスや他の汚染空気を吸い込む可能性があり、また運転中の機械室は換気扇などを設置し室内温度が上がりすぎないように(40℃未満)しないとコンプレッサーオーバーヒートの原因となります。
この前提が満たされ、各メーカーのマニュアルや注意事項に従って、運転、点検、メンテナンスを行っていれば、充てん設備から汚染空気が発生することはまず無いでしょう。
注)ここでは電動モータ駆動の定置式充てん設備を中心に取り上げています。
1.機器管理台帳
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充てん設備機器のメンテナンスおよび消耗品交換について、管理台帳を作成し記録を保管することが必要です。
管理台帳には、どの機器をいつどんなメンテナンスをしたか、次回はいつ行うのか分かるように記載します。
機器管理台帳を備えることは法令でも定められています。
左は管理台帳の書式例で、画像をクリックすると大きなサイズで見られます。
拡大画面は、書式例と記入例の両方を掲載しています。
管理台帳は、運転する設備の構造に合わせてそれぞれ作成して下さい。
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2.稼働時間管理
アワーメーター |
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各機器類のメンテナンスは、機器ごとに定められた使用時間ごとに行います。使用時間は設備の運転時間ですから、運転時間を記録しなければ適切なメンテナンス時期が分かりません。
運転時間を管理するためには、運転開始時刻と終了時刻を記録し、開始から終了までの稼働時間を記録しておきます。
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この作業を運転するたびに行い、累計の運転時間を計算するのですが、この方法ではあまりにも面倒でついつい忘れがちになります。
「アワーメーター」が付いていればメーターの数値を見るだけで、簡単に累計の稼働時間が分かります。
最近の設備にはほとんどアワーメーターが付いていますが、もし付いていない場合は必ず取り付けて下さい。
機器管理台帳には、アワーメーターの時間数値を記入して下さい。
アワーメーターは、適切なメンテナンスのための必需品です。
∗ アワーメーター: 機器の運転稼働時間を記録および積算するための時間計
3.コンプレッサーオイルの注意 化学合成油を使いましょう
オイルには、鉱物油と化学合成油の2種類があります。
化学合成油 |
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鉱物油は古くから使われているオイルで、今でも広く使用されています。
化学合成油は比較的近年になってから普及してきたものです。
価格的には化学合成油の方が高いのですが、鉱物油と比較すると下記のように多くの優れた点があります。
化学合成油は鉱物油と比較して
◎潤滑性能が高く、コンプレッサーの摩擦をより少なくする。
◎清浄性が高いため、コンプレッサー内部をきれいに保てる。
◎炭化水素や不純物が少ないため、カーボンが発生しにくい。
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どのオイルを使うかは、コンプレッサーメーカーの指示に従うべきですが、鉱物油と化学合成油の両方が指定されている時は、ぜひ化学合成油を使用して下さい。
コンプレッサーや高圧配管内のカーボン付着が明らかに違います。
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カーボンが付着した弁 |
カーボンがコンプレッサー高圧弁に多量に付着すると弁の作動不良を起こし、各段中間安全弁から空気が漏れたり圧力が上がらなくなったりします。
またカーボン(炭化水素)は化学的に不安定で反応を起こしやすく、有害な一酸化炭素を発生したり、火災や爆発の原因となります。
(コンプレッサーがオーバーヒートするとカーボンが発生しやすくなります)
∗ 鉱物油から化学合成油に変える場合の注意
鉱物油で使用していたコンプレッサーを、化学合成油に変更する場合、鉱物油排出後、吸吐出弁、冷却管、フィルター、全ての圧縮空気用配管に、カーボン等の堆積物が付着していないか点検行い、清浄な状態にしてから化学合成油を使用して下さい。化学合成油はこれらの堆積物を溶かし出す作用があり、合成油に交換後、100時間運転した後、オイルの汚れ具合を調べ、汚れのひどい場合はオイルを交換して下さい。
参考:
化学合成油も鉱物油もどちらも同じ原油からできています。
化学合成油はより高度な精製工程を経て作られており、純度や品質が従来の鉱物油より高いのです。
化学合成油は原油からより多くの炭化水素や不純物を取り除いただけではなく、オイル内の個々の分子を均一化することにより摩擦を減少させています。
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オイルへの水分混入
湿度が高い場合、凝縮した水分がオイルに混入することがあります。水分が混入すると、クランクケース油量計から、オイルが白濁したり、油分と水分が分離しているのが確認できます。多量の水分混入は、クランクケース内可動部の焼き付きを起こす危険があるため、水分の混入したオイルは必ず交換をして下さい。
4.コンプレッサーの冷却
空冷式 |
ダイビング用圧縮空気を製造するコンプレッサーは、大気を吸い込んで200気圧 (19.6 MPa) から300気圧 (29.4 MPa) まで圧縮します。大気圧から相当な高い圧力まで圧縮するため、通常2段から4段階に分けて圧縮します。
コンプレッサーで空気を圧縮すると熱が発生します。圧縮比が高ければ高いほど多くの熱を発します。
オーバーヒート状態でコンプレッサーの運転を続けると、前項で説明したように潤滑油からカーボンが発生して故障したり、有害ガスが発生したりします。また温度の高い空気は油水分離器の効果が減少するため、油分や水分が清浄筒に送り込まれ、薬剤を早くダメにするだけでなく、汚染した空気がスクーバタンクに充てんされたりします。
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水冷式 |
コンプレッサーの冷却は空気によるものと水によるものがあり、どちらの場合も圧縮中の空気温度を下げ効率を落とさないように各圧縮段階ごとに空気を冷却をしています。
空冷でも水冷でも、冷却効果が十分に発揮されるように運転をしなければなりません。
空冷式では冷却ファンが壁に近すぎないように設置し、換気と室温に注意して下さい。水冷式では供給する冷却水の温度と水量に注意して下さい。
5.充てん作業の注意!
5.1. ドレンの巻き上げを防止する
スクーバタンクへ空気を充てんしている時は、タンク内圧力と油水分離器内圧力は同じになっています。
例えば、200気圧(19.6 MPa)用タンクに充てんが完了した状態では油水分離器内の圧力も200気圧になっています。
タンクの充てんを終わって、次のタンクに充てんする場合、次のタンクの残圧が50気圧(4.9MPa)だったとします。
設備の充てんホースを残圧50気圧のタンクにつなぎ、タンクと設備のバルブを開くと、油水分離器内の圧力は急速に50気圧近くまで下がります。
つまり、油水分離器内の圧力は200気圧から約50気圧まで急激に下がることになります。
圧力が急激に下がる状態は、油水分離器内の空気流速が急激に速くなる状態です。
この時に、油水分離器内にドレンがたくさん溜まっていると、速い流速の空気がドレンを巻き上げ、巻き上げられたドレンは空気清浄器を通り抜け、充てん中のタンクの中まで入ってしまします。
また、空気清浄器内の薬剤は水分や油分に弱いため、早く能力を失ってしまいます。
このようなドレンの巻き上げを避けるためには、タンクを交換して充てんバルブを開く前に
ドレンを排出しておくこと、そして油水分離器内の急激な空気流速増加を避けるために、
充てんバルブはゆっくり開くなどの注意が必要です。
コンプレッサーの機種によってはドレンの巻き上げを防ぐ機能が付いているものもあります。
5.2. タンク充てんは、バルブに溜まった水分を吹き飛ばしてから
スクーバタンクに充てんを開始する時には、タンクに充てんホースを接続する前に、必ずタンクバルブを一瞬開いて空気を吹かせ、バルブに溜まったゴミや水分を吹き飛ばして下さい。
タンク内に残圧が残っていても、水や海水はバルブ内のストップ弁のところまで入ってしまいます。
バルブから空気を吹かせないで充てんホースを取り付け、充てんを始めるとバルブに溜まっていた水分がタンク内に押し込まれてしまいます。
タンク内に入ってしまった水分はタンク内部腐食の原因となり、内部の錆落としの処理は専門家でないと困難です。
5.3. 過充てんは厳禁!
タンクバルブの安全弁は、充てん作業中に過充てんになっても作動しません。
それは、安全弁が破裂版(ラプチャーディスク)と可溶合金(ヒューズメタル)の組合せ構造になっているからです。そのため、圧力と温度が同時に上昇しないと作動しないのです。
充てん中は圧力だけが上昇し、温度はそれほど上がって行きません。充てんされたタンクは、天日などに当たって温度が上昇すると内部圧力が上昇しますが、この時は「温度と圧力」が一緒に上昇する状態で、こうした時に安全弁が作動するのです。
安全弁はバルブメーカーが設定した圧力で作動しなければなりませんが、過充てんされたタンクは作動圧力が上がってしまい、タンク破裂の危険があります。
タンクの充てん圧力は、タンクに刻印されている常用最高圧力(FP:Filling Pressure)が上限ですが、これはタンク内空気が 35 ℃の時の圧力ですから、正しい圧力でフル充てんされたタンクは通常の気温では最高充てん圧力になることはまれです。
充てんは、35 ℃で最高充てん圧力以内で充てんして下さい。
参考情報:破裂板とヒューズメタルの作動設定圧力例
常用圧力 19.6 MPaのタンク
ヒューズメタル溶解温度: 105 ±5℃
破裂板作動圧力: 22.3〜26.1 MPa
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注)スクーバタンクに空気充てんをするには、高圧ガス保安法に基づく届出または許可が必要です。
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