ダイビング高圧ガス安全協会
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スクーバタンク取扱い基準 スクーバタンク所有者の方へ
2010年5月13日制定

◎タンク取扱のご注意

1.前書き
 スクーバダイビング用タンクは水中での重量バランス(浮力)を考慮して作らねていますので、肉厚はスチールタンクの場合4mm程度しかありません。内外面にはメッキ、塗装等が施されていますが、保守点検・管理が十分でないと、素材が鉄ですからすぐにサビを生じます。
現在の高圧ガス保安法は、工業用タンクの保安基準として作られたもので、ダイビング用タンクのために作られたものではありません。海水中という過酷な条件下で使用されるタンクを、5年に1回という高圧ガス保安法に基づく容器再検査では、あまりにも不十分と考えられます。
則ち、再検査に合格すれば向こう5年間は安全であると思うのは大変な間違いです。
このようなことから、事故を未然に防ぐには、業界はもちろんのこと、お客様一人一人に自主管理の強化をお願いする以外にございません。
ここでは、スチールタンクとアルミタンクについて、特にご注意いただきたいことを列記いたしました。

2.全般的な注意
 (1)高圧ガス保安法に従い、一般継目なし容器(スクーバタンク)は5年ごとに登録された容器検査所で再検査を受けて下さい。
 (2)使用頻度の高いタンクは、適当期間で新しい物に取り替えて下さい。
   (特に漁業用、作業用及びレンタル用等使用頻度の高い場合は3〜5年前後、使用頻度の低い場合でも、錆が発生している場合、年1回の内部検査を行っていない場合などは、10年以内に取り替えていただくことをお薦めいたします。)
 (3)タンク再検査に合格しても、その後5年間の使用に耐えないと思われる物は検査を受けずに廃棄して下さい。
 (4)タンクを廃棄する場合は、確実にクズ化処理して下さい。
 (5)充てんされたタンクは、常に40℃以上に温度が上がらないように注意して下さい。

【アルミタンクの特有のご注意】
 (6)アルミニウム合金製スクーバタンクは、前項(1)(2)の検査の他に、登録された容器検査所で毎年ネジ部の目視検査(特定再検査)が必要です。
 (7)焼き付け塗装は絶対に施さないで下さい。170℃以上になると材質変化を起こし強度が弱くなり、使用できなくなります。

3.使用に当たっての注意
 (1)容器内部に水分が入り込まないようにして下さい。
 (2)ガス充填前に容器に残圧があることを確認して下さい。もし残圧がないときは、バルブを外して内面を確認し、容器内が水分等で濡れているならば容器内を洗浄乾燥してから充填をして下さい。内面が腐食している容器には充填をせず、検査員による点検を受けて下さい。
 (3)バルブ充填口に水(海水)が付着していたら除去して下さい。
 (4)急速な充填は絶対にしないで下さい。充填速度は4MPa/分程度として下さい。
 (5)容器には刻印された圧力以上のガスを充填してはいけません。
 (6)検査期限の過ぎている容器には充填してはいけません。
 (7)呼吸用ガス充填はフィルターを通すなどして除湿をして下さい。
 (8)容器内外面に錆が発生したなら補修等の処置をして下さい。
 (9)ブーツで被われている部分は錆が発生しやすいので、定期的にブーツを外し、点検して下さい。
 (10)容器(タンク)を粗暴に扱わないで下さい。

4.空気の質に関する注意
 容器に充てんした空気は、ダイバーが体内に取り込み呼吸するための空気です。
この空気が汚染されていたり、不純物が混入していたりすると、ダイバーが不快な思いをするだけでなく、ダイビング機器の故障や重大なダイビング事故につながる可能性が有ります。常に清浄な空気が充てんされているように定期的に点検を行って下さい。
 ダイビングで使用する呼吸用空気基準は下記の通りです。

項 目基 準 値
酸 素20〜22 vol %
二酸化炭素1000 vol ppm以下
一酸化炭素20 vol ppm以下
水 分667.8 vol ppm以下(1)
オイル及び
オイルミスト
着色が認められないこと。
臭気と
きょう(來)雑物
においがなく,ちり(塵),汚物,金属粒子などが混入していないこと。
注(1) 水分をmg/l 又は露点温度に換算するには、JIS K O512(水素)の表2を用いる。


5.自動車での運搬上の注意
 (1)車両の見やすい箇所に「高圧ガス」と書いた警戒標を掲げてくさい。
 (2)転落、転倒等による衝撃及びバルブの損傷を防止する措置を講じ、かつ、粗暴な取扱いをしないで下さい。
 (3)都道府県によっては車両での運搬について独自の条例を設けている場合もありますので、運搬の基準については都道府県ごとにご確認ください。

6.使用後の注意
 (1)容器は、錆の発生を防ぐために乾燥した場所に保管して下さい。
 (2)容器を保管する場合、内圧をO.5〜lMPa程度残し、中に湿気が入らないようにして下さい。

以上

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