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タンクのメンテナンス
タンク流通段階での安全管理責任は、「充てん事業者」、「レンタル事業者」、「ユーザー」それぞれにあるが、タンクメンテナンスは主としてスクーバタンク所有者が行うべきものである。(管理委託契約などを締結している場合はこの限りではない。)
◎外面さびの点検と手入れ
まず、大切なことはタンク表面にさびを発生させないことだが、海水で使用したごとに真水をかけて外面を洗うだけで、さびの発生程度がずいぶん異なる。
使用後は必ず水洗いをすること。
「スチールタンク」
スチールタンクのさびは「赤茶色」や「茶黒色」なので、タンク表面を覆っている付属品(タンクブーツなど)を取り外して目視で観察すれば、さびた箇所は比較的容易に発見できる。
ただし、以前にさびを十分落とさずに上から塗料を塗ってしまった場合などは、さびを発見しにくい。塗料の下に発生しているさびは、通常塗装が盛り上がって来るので、盛り上がった箇所の塗料を剥がせばさびた部分を発見できる。
さびの上から何回も塗装してしまった場合にはさびを発見しにくくなり、さびが内部で進行するため特に注意が必要である。
表面を亜鉛メタリコンしてあるスチールタンクは、亜鉛がさびて溶けてしまうまでスチール面はさびないという特徴を持っている。
使用している内に少しずつ亜鉛の層が薄くなってゆき、ある程度の表面積の亜鉛層が無くなると、部分的にさびを生じ始める。このような状態は亜鉛メタリコンの寿命であり、専門工場に出して再び亜鉛メタリコン処理をしてもらうか、別の方法のさび止め処理をしなければならない。
一般的なさびの手入れは、さびをよく落としてからさび止め塗料を塗る方法である。
この場合、スチールの地肌が見えるまで良くさびを落とすことが重要で、前述のようにさびが残っていると上から塗料を塗っても塗料の下でさびが進行することになる。
スチールタンクのさびを落とす最も良い方法は、サンドブラストやショットブラストを用いる方法だが、こうした設備は専門工場にしか無いため実際には難しい。
塗装した部分は、岩など硬いものにぶつかると傷がついてスチール地肌が露出してしまい、さびが発生しやすいのでこまめに手入れが必要である。
★ スチールタンク内面腐食の問題
内面腐食はスチールタンクの場合特に深刻である。容器検査時において内面腐食を落とす事は可能だが、問題は元々施してあった内面錆止めのメッキ処理が取れてしまい、スチールの地肌が露出してしまう可能性が有る。
一度こうした状態になると、内部にわずかな水分が侵入しただけですぐに腐食しはじめる事になる。
一般事業者にとって内面錆止め処理は非常に困難で、タンク製造メーカーに依頼する事になる。
アルミタンクは法令によって毎年内部の点検を行う事が義務づけられているのに対して、スチールタンクの場合、5年に1回の検査である。
これはややもすると、内部の目視点検を5年間も行わないという事になりうる。5年間も内部目視検査を行わないと、内部に深刻な腐食を生ずる事になり、破裂等の危険性を招く。
また、内部の錆がバルブ、レギュレータを通ってダイバーが呼吸する空気に混ざって出てくる危険があり、ダイバーの健康上重大な問題となる。
スチールタンクの場合も、年1回は自主的な内部目視検査を行うべきである。
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激しく内部腐食したスチールタンクの例
「アルミタンク」
スクーバタンクに使用されているアルミは、非常にさびにくい材質であるが、それでもさびは発生する。アルミタンクのさびは白色の粉を吹いたように見える。スチールのさびとくらべて発見しづらいので良く注意して見る必要がある。
さびの発生した部分の手入れ方法は、基本的にはスチールタンクと変わらないが、タンクが高温にさらされるような塗装は厳禁である。
以下に日本ラックスファー(株)「スキューバボンベ目視検査ガイドブック」に記載されている塗装の注意事項を紹介する。
塗 装
(ラックスファー社からの注意)
- 塗装が剥がれてきたら、その部分を空気自然乾燥塗料で塗ってください。
- ボンベ自体に傷がある場合には、先ず目視検査をしてもらいます。
- 熱を使ってボンベの塗料を乾燥させたり、硬化させないでください。
- アルカリ性や酸性の塗料剥離剤、ショットピーニング、あるいは環境や人の健康に有害な溶剤や安全性が危ぶまれる溶剤などを使って、アルミニウムボンベから塗料を取り除くことはしないでください。
- ボンベの塗料を取り除いたりボンベの塗装に使用する化学品は、アルミニウムの表面に使っても安全だということがラベルに明記されていなければなりません。
- ボンベ全体に塗装が必要な場合には、ラックスファー・ガスシリンダーズ社までご連絡いただければご相談にのります。
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