ダイビング高圧ガス安全協会
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★タンク内高圧空気中の水分が、機器とダイバーに与える影響

スクーバタンク内に水分が侵入すると、タンク内面にさびを発生させ重大な問題となることはたびたび述べてきた。また圧縮空気内の水分はレギュレータなどにも悪い影響を与える。

 細い管の中を高い圧力と早い流速で流れる空気が、急に広い空間に出る時に急速に温度が下がる。(断熱膨張による断熱冷却)
温度が下がるときにその空気の中に含まれている水分が凍り、小さな氷の粒となる。

タンクバルブやレギュレータの内部でこの「断熱膨張による断熱冷却」が起こり小さな氷の粒が空気の通り道をふさいだり、レギュレータの弁を傷つけたりする。

 このように、機器類にとっては水分の無い空気が理想だが、一方で水分のない空気は呼吸用としては問題が多い。
 水分の少ない空気を呼吸するとひどくのどが渇くのはもちろん、肺を通して体内の水分がどんどん放出されて行く。その結果、血中の水分濃度が低下し、減圧症にかかりやすくなる。

 このようにタンクに充てんされる圧縮空気に含まれる水分量は、機器類にとっては少ない方が良く、呼吸するダイバーにとっては多い方がいいという全く逆のものが要求される。

 病院などで使用される医療用酸素ガスは、機器類への影響を最小限にするため非常に乾燥した酸素ガスが充填されている。
 しかしこのまま人間が吸入すると呼吸を通して体内水分がどんどん排出されてしまうため、病院などで使用される酸素吸入器には水分を補給するための加湿装置が付けられている。

「断熱膨張」による「断熱冷却」
空気のような気体に熱を加え、温度を上げると体積が膨張します。これは、熱というエネルギーが体積を増やすことに使われるからと考えることができます。
同じように、体積を押し縮めると(圧縮すると)そのエネルギーが熱に変わり、温度が上がります。
逆にむりやり体積を引き伸ばせば、エネルギーを失い、温度が下がるのです。この現象を「断熱膨張」による断熱冷却といいます。

◎露点
工業用高圧ガス業界では、ガスの中に含まれる水分量を「露天温度」という単位で表現しています。ここでは参考情報として「露天」という事について紹介させて頂きます。

 空気中に含むことの出来る水分(水蒸気)の量は、空気の温度が高いほど多くの水蒸気を含むことが出来ます。
 空気がある温度の時に最大含むことが出来る水蒸気の量を、1立方平方mあたりで表したものを「飽和水蒸気量」といいます。飽和水蒸気量は温度によって決まった値です。(気圧によって多少変化がある)
 飽和水蒸気量は温度によって変化します。温度が下がれば、空気中にふくむことができる水蒸気の量は減っていきます。
 これ以上温度が下がれば、ふくみきれなくなった水蒸気が水滴となってでてきてしまうというぎりぎりの温度をその空気の露点といいます。


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★アルミタンク vs スチールタンク

平成14年6月10日のスクーバ用アルミタンク関係法令改正によって、アルミタンクは、年1回の内部検査が義務づけられた事に伴い、ダイビング業界の一部では所有タンクをアルミからスチールタンクに買い換える動きが見られた。

 スチールタンクにするかアルミタンクにするかは、事業者自体が決めることであって誰もとやかく言う問題ではないのだが、スチールタンクに買い換える理由の一つに「スチールタンクなら5年間内部点検をしないですむから。」という話しが一部から聞こえてくる。前にも述べたように、物によっては5年間1回も内部点検をしなかったスチールタンクの内部にはひどい腐食が発生している例も少なくない。

 従って、スチールタンクもタンクと同様に、年1回の内部検査を行うべきである。スチールタンクが年1回の内部検査を行わないとしたら、安全性や内部腐食粉塵混入の可能性などから考えると、必ず年1回検査を受けるアルミタンクの方がユーザーにとっては安心できるタンクということになる。

「アルミタンクとスチールタンクの一般的な比較」

:高温による影響は、アルミの方が影響を受けやすい。
:一般的にはアルミの方が腐食しにくい。

アルミにするかスチールにするかを決める上では上記のことをも含めて検討をしていただきたい。




★スクーバタンクは何年間使えるのか。

スクーバタンクの寿命について時々質問を受ける。腐食さえ発生しなければ何年でも使えるというのがその答えである。

 10年を経過したスクーバタンクは使用しないようにしようという提案がある。これは腐食による肉厚減少が起きるためこうした事を自社の社内基準として採用しているダイビング事業者もある。
実際の問題として、ダイビングで使用するスクーバタンクが、全く錆びない状態で使用し続ける事はほとんどあり得ない。
何よりレジャーとして、ユーザーに対してより安心感を与える事も重要であるし、内部腐食による安全、衛生上の面からも妥当な自主的ルールと思える。
当協会では、スクーバタンクとタンクバルブに付いて業界自主基準を設けているので、そのページを参照頂きたい。

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